モノゴコロ

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エレキ


前回投稿に引き続き、今回もギターネタ。
またも長文m(_ _)m

 


大学を卒業して最初に就いた職は、所謂業界の仕事。テレビやCMなどの映像に携わる制作技術会社の営業だった。
詳しい仕事内容についてはややこしいので避けるが、得意先はテレビ局や制作会社。
営業なんでもちろんお客を訪問する。
相手はプロデューサーやディレクター、制作進行などと呼ばれるヒトたちだ。
ラフな世界だったので余計にだが、ある程度大きな客先でも「オハヨざまーす!」(業界なんで昼でも夜でも)と、事務所にアポ無しで勝手に入っていけた。
営業に行くのに必ずアポを取らなくてはならず、いろんなセキュリティの問題で客先の受付前コーナーなんかでしか商談できないという今と違って、
いい時代。
得意先には小さなプロダクションなんかも多かったので、そんなところはさらにまったくもって自由に出入りできた。

お客と仲良くさえなれば、そんな事は全然可能で、ヒマなら雑談の相手もしてくれる。
話が合えば向こうもちょうどいいヒマつぶしだ。
こちらとしては、営業半分サボり半分。
昔よく言われた"アブラを売る"という事ができたのだった。
お客側にとっても余裕があったいい時代だったと言える。
今なんかは忙しくて業者の相手などしてはいられないだろうし、アポを受けるにも社内的にそれ相応の理由がいるのではないだろうか。


さて、本題に入るが、
自分がそんな業界の営業だった時の事。

まず、こういう業界のヒトたちは大概、映像に加えて、音関係についても好きで入ってきているケースが多い。
なかにはプライベートにおいても、音や音楽について、詳しくわかってはいないし自分ではやったりしないけど、何かしらそういう事を好きでいるか、憧れて興味をもっていたりする方がいる。
またその好きでいる自分にステータスを感じていらっしゃったりする。
(もちろん本格的に音に関わっているヒトも多いが、今回の話はそういうヒトは別として)

で、先程の営業訪問時において、話のできるヒトとはいろいろ雑談なんかをするのだが、仲良くなり始めの頃、大抵訊かれるのがそのプライベートの事。
そしてそのヒトが、上述のように、音楽に興味だけは持っていて、ステータスを感じている方だったりすると.....


お客、おもむろに

『君さー、休みの日とかさー、何やってんのー?』
(関西出身のヒトでも関東系イントネーションな事が多い)

学生時代からやっていたギターとかバンドとかぐらいしか、ちゃんと趣味と言える程のものが無かったので、控えめに、

「え?...あ..オンガク...とか、ちょっと...」

と答える

と、
お客、急に食いつく

『えっ!?えっ!! オンガクって?! 楽器とかできるん??』
(イントネーションが急遽関西系になる)

それでさらに控えめに

「あ..まあ...ギターなんかを...ちょっとだけ...」

と言ってしまうと、興奮気味に

『マジで!! エレキ? フォーク? エレキ?! エレキ?!』

いやいや(苦笑)、それで、ちょっと引き気味に

「え、あ、いや、...エ..レキ..をちょっと...」

と答えると、さらに興奮して

『マジでマジで!! リードギター? サイド? リード?! リード?!』

戸惑いを隠せず、

「いや、あ...その..え、え〜っと...リードというかサイドというか..その.....」

・・・・・


違うお客でもそんなような事が何回かあったと記憶する。
そして、その度、なんかすごく赤面してしまうのだった。

 


これは、とても個人的な事で、もしかして自分だけがそう思っているのかもしれないが、
まず、


エレキ    って


なんか、なんてゆーか?
響きが...


カッコ悪くね?


薄っぺらいっていうか、インチキっぽいというか、パチもん臭いっていうか、ビリビリっていうか、
でも結局、日本においては、一般的にもそう呼ばれている。


エレキギター

日本語である。


プロのギタリストなんかもみんなそう呼んでしまっている。

正式には、Electric Guitar


でも、エレクトリックギターやってますって言うのも、なんか関西で言うイキってるって感じだし。
どうもベンチャーズブームとかで最初に日本に上陸して、テケテケと呼ばれていた頃から変わっていないというか。
明治時代、"アメリカン"の発音のヒアリングを"メリケン"と聴いてしまっていたような。

それを、興奮気味で連呼され、君やってるのかと詰め寄られると、自分は顔が真っ赤になってしまうのだ。


大体、エレキってなんなんだ?
ギター以外に思いつくのは、平賀源内のエレキテルか、ピップエレキバンぐらいのもんだ。

あ、ウルトラセブンの怪獣にエレキングってヤツがいたっけ?


それと、

リードとかサイドとかっていうのもなんか、妙な食いつき方で言われるとちょっと恥ずかしい。

専門的にはなるが、バンドにギタリストが2人以上いて、主にソロ系を弾くのがリードギター、コードバッキングを弾くのがサイドギターと担当分けされているケースが多分もしかして今でもあるのかもしれないが、昔は特によくそんな風に言われていた。
で、大概、リードギターが花形で、一般にはサイドギターをやってるヤツより上手いという誤解があった。
実際、ソロが弾けたら上手いとか、弾かないから下手とかそんなもんではない。
バッキングなんかは逆にあらゆるテクニックを駆使しなければならないところもあるし。

リードかサイドかを問うている時点で誤解している可能性は高い。

もちろんだが、どちらもそれなりに弾けるのが上手いギタリストだ。

 


ギターって、
昔はヒーロー的な楽器だったけど、

今や誰でも気軽にできて、
最早みんなにうわべだけをよく知られてしまって、
なかでも所謂そのエレキは、本当の呼び方では呼んでもらう事すらできずに、
知識の浅い薄っぺらいところで知ったかぶりに評価されて、
やっててもあんまり希少価値もなく、

ここにきて逆に不憫な感じさえする。

まあ、楽器を弾く事の大衆化には貢献したかもしれないけど。


そこへいくと、ドラムなんかは、一発で相手を黙らせる。

マチュアではやってるヒトもギターに比べ未だに少なく希少価値的だ。
ゆえにその楽器を詳しくないヒトはギターに比べ格段に多く、そのヒトたちにとっては未知の領域だ。
まず、手足がどのように動いて何をどう鳴らしているのかわからない。
そしてそのセットは、まるで要塞のように大掛かりで大層だ。
そこでは何かとてつもない人間技ではない事が繰り広げられているように思えてしまうのだ。
それでいて音程が無い分、シンプルであり迫力の一言で片付ける事ができる。
そして庶民では、ドラムセットがある家などなかなか無い。
だから、
知らないから、
評価の判断が早い。

『ドラムやってるって、凄い!』

そう、『凄い』の一言で終わるのだ。
(実際、凄いところはいっぱいあるんだけど)


そして、ベース。

これがまた、ズルい。
ギターの一種でありながら、この楽器についてもその実態はあまり知られていない事が多い。
なんとなくギターに似ている事はわかっていても、どういう事をやるものかがわかっていない。
まったく知らないヒトにとっては、ベースという名前は聞くが、そのカタチのイメージすらできない。
大体聴いていてもどの音がベースなのかわからない。
わからないからなんかこれも、やってるって言うと、

『凄い!』の一言で終わる。

実は、ベースの4本の弦は、ギターの6本の太い方から4本のそれぞれ1オクターブ低いという、
それだけだ。
(ん?...前回投稿のベースがそんな単純なもんではないという説明とは裏腹か?)
しかも、ポップやロックバンドでやってるのは大体、ベースもエレキだ。
でもベースはベース。なぜかエレキベースとはあまり呼ばれない。


極めつけはキーボード。

キーボード イコール まずピアノ、というイメージ。
言うに及ばず、ピアノはクラシック音楽界からやって来た楽器の超代表格であり、弾けるようになるまでにはかなりの習得が必要という認識が世間には定着している。
こちらは他の楽器とは違ってあまりにも有名であり、その習得の難しさに至っても逆によく理解されてしまっている訳だ。
また、鍵盤やってるというだけで楽譜が読めるとも思われ、読めないニンゲンにとってこちらについては未知の世界。
楽譜が読める事これ、すべての庶民の憧れでもある。
つまり、いずれにしても間違いなく、

『凄い!』の一言で終わる。

なかには楽譜が読めないキーボーディストもいたりするのだが。


そしてさらにもっと厄介なのがボーカル。

これは、逆にギター以上に誰しもが理解できる領域。それでいて、やってるというだけで賞賛される。

歌。

つまりは、一般には、例えばバンドでボーカルをやってるという事はすなわちこれ、それだけで歌が上手い事に他ならない、という判断になる。
当然、

『凄い!』の一言で終わる。

もちろん、ステージ上の超花形であり、カラオケでマイクを離さないヒトたちなんかの超憧れの対象だ。


・・・・・・・

 


そう、

やっぱりギターだけが、簡単にすぐ様『凄い!』とは言ってもらえず、
エレキなのか、フォークなのか、リードなのか、サイドなのかを弾き手が問われ、辱めを受ける悲しい楽器なのである。

 
..........そんな大層なもんでもないか...


と、ダラダラとここまで大量の理屈を並べてきたが、
どうも、昔から、"エレキ"とか"リード"とかという響きに妙に違和感を感じていて、花形でありながらなんかカッコ悪いようなダサいような中途半端な気持ちでギターを弾いてきた。
しかしながら、これまでこれに同じ意見の話を聞いた事がない。

もしかしてこれは自分だけが持つ特別な感覚なのではないだろうかと不安にもなり、悩んできた。

そして、前回の投稿でギターについて触れてしまった事もあり、とうとうムラムラっと我慢ができなくなって、今回の投稿に至ってしまった訳だ。

読んでいただいた方のなかでギタリストの方がいらっしゃるようなことがあれば、また、そうでなくとも何らかの御意見を頂戴できるような事あらば、是非お願いいたしたいものである。

 


う~、前回に続き、今回もまたムチャクチャ長文になってしまった。

 
こんなくだらない事を長々と書いているヒマがあるならば、エレキの練習した方が良さそうだ

 


実際、ヒマではなかった...

 


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