ジモト 2-2
小学生の頃、平日に地元のお祭りがある日は学校が"半ドン(午後が休み)"だった。
自分は元々地元の者ではないが、もちろん当時の子供としては、その日に向けて1週間くらい前からとてもワクワクしていたものだ。
今はもう"半ドン"って言葉も使わなくなったか?
お祭り...
採れない金魚すくい、当たらないくじびき、出店での買い食い チープな味、りんごあめ、たこやき、やきそば..... (笑)
でも、それらが最高の宝物に思える至福のひと時だった。
今はどうなんだろう?
そして、今の子は?
ちょっと手を伸ばせば、何でも良質なモノが簡単に手に入るイマの子供たちはどう感じているのだろう?
地元生駒南地区の氏神様、往馬(いこま)大社の火祭り。
今は毎年、体育の日の祝日が絡む連休に執り行われている。
オトナになってからはあまり赴く事はなくなったが、何年か前に、そして一昨年に、ふと、随分久しぶりに足を運んだ。
とても懐かしい感じとともに、最近は昔と比べて周辺地域にかなりなヒトが増え、結構な人出だ。
驚くというより、なんか感動してしまう。
子供の頃は当然、
お祭りはその中身より出店目当て、友達と一緒のワイワイ感が目的だった。
そしてかなりなオトナになっていた筈の何年か前も、結局、その頃とあまり変わらず、懐かしさと出店の雰囲気を楽しんだだけだった。
そんな事なので、ここのお祭りの一番のメインイベントでもある"火取り"についても、ずっと地元にいるにも関わらず、生でちゃんとというか、意識して正式に見たのは一昨年が初めてだった。
とても恥ずかしながら。
しかも、正式にと言っても、少し離れた袖の方でチラッとだけ、あまりしっかりとは見られなかった。
また、宵宮から本祭の間に繰り広げられる様々な諸行事についても未だよくは知らないでいる。
こんなに長くこの地に住んでいるのに何だか申し訳ない。
最近はホームページや告知、広告なんかも充実してきて、詳細情報は簡単に取れて写真などでもイメージなど確認はできる。
今のオトナも、ちょっと手を伸ばせば、何でも良質なモノが簡単に手に入る。
でも、
やはり、
当たり前の事だけど、
"その場所"でしか感じられないモノはある。
一昨年、袖の方で垣間見ただけの"火取り"。
ほんの一瞬だけのモノなのに、そのインパクトが何だか忘れられなかった。
残念ながら昨年は行く事ができなかったのだが、
今回は、今年こそちゃんと見てみたいという思いから、改めてその場所へと赴いたのだった。
"火取り"
古の 生駒谷を南北に分けて競い合うという習わしを背景に、南北それぞれの火取り役が、燃え盛る松明を肩に担いで石段を駆け降り、降りる速さを競いそのまま走りぬける。
そしてそれは一瞬にして終わる僅か10秒くらいの事だ。
全国に数ある火祭りのなかでも、これ程一瞬にして終わるものはとても珍しいものの様だ。
そして、もちろんの事だが、このもの凄いインパクトとともに価値あるその一瞬は、そこに足を運んで見に行く事をしなければ、
決して感じる事はできない。
よく、ヒトや、出来事や、なにかにパワーをもらうという事を聞く。
その一瞬を画像に捉えた瞬間。
それは自分の中にあった。